河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

琵琶の奥へ行くか

 母の短期喪の明け。妻の一ヶ月検査も無事通過という区切りで表題の旅に行くことに。本当は何十年間も出来なかった中長期旅行が良いのだが、骨折後の妻は慣らし運転中とあってひとまず試運転ですね。木津、三朝そして塩田と候補を考えるが馴染み旅館にはベッドの部屋がありません。そのような旅館を避けてきたのですから、当然のお話です。で、急遽決めたのが「己高庵」という木之本にある宿です。
 己高庵玄関

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 何も無いと云うものを具現化したらこうなるという、己高庵ですが十年以上も通っています。秋は鶏足寺を初めとする紅葉と十一面観音像巡りでここ数年は人の賑わいが増えてきたが、そのシーズンが過ぎるともぬけの殻状態、この頃が一番良いと思うのは愚僧のみか今回もコロナ禍とは言え閑散としている。
 食堂から3.5方がテラス状 一方の隅に琵琶湖が見えます

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 さて、コロナによる国からの補助金は車購入で底をついているため、往路は無料道路中心です。和束町のMTBコース信楽の狸そして湖国に入り太郎坊・阿賀神社参拝という目的もありました。MTBコースは国道163号から府道5号に入り和束川沿いを走ると看板はちらつくが、後*キロという表示が無い。何とかなるさと走っていると信楽町に入る。どうやらコースに嫌われたようだ、帰宅後ネットでも調べるも湯船森林公園という場所に時に設置されるコースのようだ。これかな?と思われる場所で写真撮影したが、どうも地図上の公園と写真では川の位置が反対側にあるようです。
 コミニティーリバー公園とか 事前調査不足でした

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 信楽町で昼食です。既に湖国圏内だが近江牛は諦めてトンカツで栄養補給。店の前が信楽駅なので女将さんに電車の写真を撮って孫に送りたい・・・と言うと「スミマセン、入場料を払わないと構内の電車は写せないようなんです・・・」と謝られる。女将に謝っていただく事は無い、しからばと駅をやり過ごして望遠で引くと何とか「忍」というヘッドマークが写せました。駅前の巨大狸の**チンの割りには心小さな鉄道会社であること。
 電車遠景(SKR311号車)

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 駅前の狸

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 信楽の町を後にして紫香楽宮跡に立ち寄る、聖武天皇が気まぐれ(?)に引越を繰り返した宮の一つで、和束町に入る府道5号近くにあったのも恭仁京で同じ聖武さんの引越魔の遺産です。紫香楽宮は石柱があるだけだが、いつの日にか大規模発掘でもされ広大な宮跡が出現するかも知れません。それまでは、宮跡近くに住まいされる住民も買収等無く安泰でしょう。
 紫香楽宮跡

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 ここから湖南アルプスとでも云うのでしょうか、急峻な山を越えると湖国に入ります。太郎坊宮は東近江市近江鉄道万葉あかね線)太郎坊宮前駅北にそびえる岩の山がご神体。山と巨岩そのものをご神体とする宗教は古来磐座信仰と呼ばれ、この近江の地にも散見されます。また、後に入ってきた仏教と結びつくのも珍しくない。同じ近江の石山寺は一つの巨石の上に寺があります。石塔寺はその信仰の対象となる石で塔を作っています。太郎坊も天台宗の寺であり阿賀神社でもあります。山頂近くには夫婦岩と呼ぶ岩の裂け目があり、無事裂け目を通過できたら願いが叶うという。現世御利益の信仰は、多くの信者を引き寄せるのか、山中には大小の建物が点在する。
 麓正面から(自動車道も整備)

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 額田王が「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」と男女の道ならぬ恋を赤裸々に歌ったその恋の道を、太郎坊山の巨岩はどの様な判定を下されたのでしょうか。額田王の恋の道は「現世御利益」そのもの、太郎坊に願いを叶えられたのか・・・。駐車場横にある「かわらけ」の的がハート型になっているのは、太郎坊宮の古来からの定番なのでしょうか。
 かわらけ的

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 さあ、今宵の宿木之本己高庵の薬草風呂を目差して高速代を奮発しましょう。浅井家の居城であった小谷城近くにスマートICが出来ていると聞いていましたので利用します。少々反応が鈍い簡略式インターにぶつかりそうになりつつ無事通過。石田三成関ヶ原で敗れ、暫く潜んでいたという洞窟、紅葉の鶏足寺、渡岸寺十一面観音等々道中にありますが幾度も訪れていますので、今回は直行です。
 露天風呂(目隠しが邪魔ですが、住民には無いと迷惑でしょう) 

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 コロナ禍の影響と云いますが、我々がよく訪れるころとの違いはマスク程度です。泊まり客一組という日も度々あったので、今回は三組と聞いて「賑やかだね」という洒落も新顔の職員にはピンとこない怪訝な顔をしておられる、少し「通」過ぎましたか。十種以上も入っているという薬草湯に都合三度も入り、昏睡できた。久しぶりの「七本槍」も相当効いていたようですが。
 清酒七本槍、左が木之本名産桑酒

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 和束川 左右に広がる 緑茶園 <百利休>

  太郎坊 磐に挟まれ 宗旨替え <偐山頭火