十津川村を抜けると、和歌山県(東牟婁郡)田辺市本宮、「熊野本宮」の大斉原に建つ大きな鳥居が見えてきたら湯の峰は近い。鳥居を前に拝殿しないわけにはいかないだろう。身を洗う前に心も洗おう。
旅装束を解いたのは、湯の峰温泉街から少し離れた「湯の峰荘」。玄関の前に、源泉が蕩々と溢れている。これから、この湯に入るのだ・・・と思うとわくわくする。
旅館の規模にしてはゆったりとした広さを確保して、後背の山や谷を借景にした設えは、相当お風呂に造詣の深い設計者と経営者の努力のたまものだ。午後10時過ぎには男女が入れ替わる、両方楽しんだが曇空が惜しまれた、聞くと満天の星空に流れ星が楽しめるという。
一晩と早朝で何回楽しんだか。
翌朝はつぼ湯のある湯の谷川の旅館街や、湯の峰公衆浴場辺りを散策。親子連れが「湯筒」でゆで卵を煮ている。今は薩摩芋も湯がけるという。硫化水素臭の卵は何とも言えない味わいがある。
湯の峰を後に国道168号の旅から外れて「中辺路」を田辺湾目指して走ると、中程の近露王子にあるのが「女神の湯」。
重曹泉としては日本一の濃度という。この、日本一と聞けば通過することは出来ない、と探すこと数分。「奥熊野温泉」や「女神の湯」と言ったセカンドネームが災いした。要するに「女神の湯」である。少々時代がかったキャンプ場に在る浴場だ。
前評判通り、つるつる。湯船の中でも転けそうだ。温泉修行の課題としては、克服するべき温泉だろう。
路程:JR紀勢線神宮駅バス 阪和(湯浅)道南部IC
写真:湯の峰公衆浴場 湯の峰荘露天風呂 女神の湯
湯の峰温泉にて
○湯の峰の照手姫は我が妹なり
○薬湯に我が身を判官に置き替えん