温泉地や温泉を扱った「小説」や「エッセイ」などの書き物は幾らでもあるにちがいない。不倫の密会地が温泉旅館等とすれば温泉小説を名乗れるのかも知れない。
標題の小説は、私がよく利用する丹後木津温泉「ゑびすや」で書かれた。今もゑびすやの本館には「松本清張の間」があり、寝泊まりすることもできる。私は、文豪の足元にも及ばず、お恐れながらその並びの部屋を何時も利用して、文豪の「埃」でも吸わせていただいている。
「Dの複合」の解説は避ける。
木津温泉「ゑびすや」は「「浦島館」として登場。先代女将がその「松本清張の間」に案内するも、・・・山と田んぼばかりの町らしいものが見えない、その外れの二階に通されたが部屋はそれほど悪くない・・・・風呂はタイルを貼った薄汚れて気味がわるい・・・料理は一流料理店も及ばないくらいだ・・・・
と、褒めているのかけなしているのか。
事件はここから発して、戦前の殺人事件に絡んだ巧妙なトリックと構図が、文豪の筆致で描かれてゆく。が、小説という構図故に現実を切り捨ててあるところが何ヶ所かある。
○木津温泉の道路の配置 ○嵐山電車 嵐電と阪急嵐山線の混合 ○京都府警と兵庫県警の混合
○三朝温泉への最寄り駅が不明 ○舞鶴街道の路線が木津を通らない
重箱のすまをつつくような話だが、熟読できた。
ゑびすやに関しては、過去に記事(平成18年7月13日)があるので参照されたい。
Dの複合を読んで
○小説 謎解き明かして闇の中
○大切にするものは隠す 物書き