河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

お湯休め「紅葉の名所 和歌に歌われた三室山と龍田川はどこか」

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 秋たけなわという表現が良いのかどうか、テレビを観ていてもバス旅行の宣伝を見ていても「紅葉」がこの時期の主役のようです。そこで、先月琵琶湖MTB行の折に訪ねた、在原業平墓伝説に関係の紅葉ネタをご披露します。

 千早ふる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに 水くくるとは (在原業平

 この超有名な和歌も、古典落語「千早振る」では次のような展開になる。竜田川という四股名の相撲取りが出世するまで女人を絶った。見事大関に昇格した竜田川は吉原へ遊びに行くが、千早という花魁、その格下の神代にも振られる。落胆した竜田川は故郷へ帰り家業の豆腐屋を営んでいるが、そこへ落ちぶれた千早がおからをくれと懇願にやってくる。おからを貰えなかった千早は井戸に入水して果てる(水くくる)という。長屋の物知りが和歌の意味を聞かれて、知ったかぶりしてこの一段を語ります。付け足しですが、「とは」の意味を聞かれた物知りは千早の本名という。

 名作もたまったものではありません。現在竜田川と呼ばれているのは「平群川」であり業平が歌った龍田川とは全く別であるというのが有力な説です。大和川は古の時代には、龍田大社付近では龍田川と呼ばれていました。神代の時代はわかりませんが、今の竜田川では浅くて、水くくるのは無理でしょうが、本来の意味とは別です。

 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり    (能因法師
 

 同じ小倉百人一首能因法師が歌う龍田川の紅葉を歌った和歌では、三室山という地名が出てきます。これも、竜田川と同じで現在の斑鳩町にある三室山と間違って認識されています。都合の良いことに竜田川平群川)が麓に流れており、近くには龍田神社もあります。しかし、和歌で歌う三室山は龍田大社西方、大阪府との取り合いにある三室山を指しています。

 大阪と奈良を結ぶ街道で一番高低差が低く、多くの旅人や物資を運んだルートを「龍田越奈良街道」と言います。奈良から法隆寺辺りを過ぎ、龍田大社の参道をかすめ、大和川沿いの三室山に至り生駒山系を越え河内に抜けるルートを指しています。偶然の一致と現在の風景(平群川沿いの鉄道には「たつたがわ駅」まであります。)が印象深く龍田川が置き換えられたのでしょうか。
  

 写真:龍田大社、三室山遠望、龍田大社と三室山地図、万葉集「鏡王女」の磐瀬の杜石碑、歌碑も近くに

 龍田大社にて
 千早も 神代も振った 龍田川 おからごときで 水くくらぬも <河内山錦秋>

マキノ白谷温泉「八王子荘と在原業平の墓」
http://blogs.yahoo.co.jp/gourmet_1212/53707153.html

 龍田大社
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BE%8D%E7%94%B0%E5%A4%A7%E7%A4%BE

 龍田神社
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BE%8D%E7%94%B0%E7%A5%9E%E7%A4%BE

 三郷町歌(三番で三室山を歌詞にしています)
 http://www.town.sango.nara.jp/kikakuzaisei/gyose/gaiyo/shokai/yurai.html 

 磐瀬の杜
 http://www.town.sango.nara.jp/shogaigakusyu/kanko/manyouka/manyouka_01.html