河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

九州行乞の旅「温泉津温泉にて」

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 温泉津温泉は特に気に入っている温泉の一つです。あの色と温度は刺激的ですが、ご近所の方は束子でこすっておられます。私も一度犠牲になりましたが、あれは堪えまますな。宿は長命館と決めていますが今回急なため予約が取れず、のがわやさんとしました。

 温泉津には源泉が二つあり、長命館の前にある元湯泉薬湯と浜田地震(明治五年)でわき出した薬師湯で、それぞれ共同浴場となっています。元湯泉薬湯は伊藤家という元代官の家柄が管理されています。天領ですからお代官さんですね、藩ならまたぞろ殿様が登場ですが。しかし、この二つの源泉以外にもう一カ所あるのを人づてに最近お聞きして、今回探索の結果発見し拝湯することができました。

 それが才市の湯と言い、温泉津駅から港へ向かう道筋にあり夕方からの営業です。浅原才市(1850年~1932年)は、石見国大浜村字小浜(現島根県大田市温泉津町小浜)に生まれ元僧職の父を持つも、生涯を下駄職人として過ごしました。その仕事の合い間に、「口あい(くちあい)」と称せられる、信仰を詠んだ自作詩、約10,000首もの数を、かんな屑に書き綴っていた。これは後に小学生ノートに書き写されたものがある。という人物で、いわゆる郷土の偉人ですな。その才市の生家近くで湧く源泉を加温して共同浴場として利用しています。泉質は、どちらかというと薬師湯に近いです。

 のがわやさんは、薬師湯からの配湯を浴槽に流しておりますが、毎分六リットルということで、男女で使い分けしています。私の泊まった日は翌朝が男湯で温泉でした。無理に内湯を望まなくとも、共同浴場が近いので利用すべきでしょう。温泉津は石見銀山を含む地域が世界遺産に指定されて雰囲気が変わったか、と半分不安な気持ちで訪れましたが、温泉津はゆのつです。ゆったりと時間が流れる、歴史に取り残されたような雰囲気の中を下駄でカランコロンするのも良いです。

 写真:才市の湯、元湯泉薬湯、薬師湯、才市の像(元湯泉薬湯前)、温泉津港

 温泉津にて
 ○銀を積む 沖泊まりでも 温泉津という