河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

旬の外れたぼたんの寺 石光寺

「しゃっこうじ」と読むと聞いていたことがあるが「せっこうじ」とパンフレットにもある。読みはどうでも良いと思うが少々気に掛かる。二上山を日傘か合羽風に纏ったように、当麻寺と並んで大和盆地を見下ろすような位置にその寺はある。天智天皇の勅願で建てられ、 役小角(えんのおづぬ)の開山と伝えられる。
 二上山を笠に着て

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 山門で入山料を支払う、マスクを車に忘れたことを告げると住職らしき方が、にんまりを笑って「気をつけて」と仰る。どう見ても私以外に人気はない。
 何度か来ているが花の無い端境期ははじめて、どの様な景色が広がるのか楽しみです。
 山門と石柱

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 山門を入って直ぐに目に付くのは「想観の沙」という、円錐と台形の砂の作り物、これは後にしましょう。これまでは山門とトイレあたりで迄しか入っていないのですが、結構奥が広いです。ぼたん2000株、アメリシャクヤク1000株、寒牡丹150株の他梅、蝋梅、寒咲菖蒲、寒ぼけそして時季外れですが百日紅と良く育てられたモノです。しかも、鉢植えを移動するというセコい真似はなさっていない、地植えばかりです。
 山内一望 借景の二上山が生きています

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 入山料購入の証ではありませんが、今流行の自撮り(?)です。

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 さて、分かる限り個別のお花に入っていきましょう。

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 笠を着た寒牡丹でしょうか、朱が美しいですね 

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 水仙も咲き誇っています。
 この時期の花としてはポピューラーです。 

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 蝋梅
 今が盛りです。

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 ここにも笠を着たぼたんが 

 寺のブログによると、先々代の住職のころ、与謝野晶子がやってきたそうです。境内にある句碑は、本人が自ら書いた住職への手紙を形にしたものです。
 そこにはこう書かれてあります。「今年は体調がすぐれないので、寒牡丹を見に行けないかもしれません」
与謝野晶子の句碑の後ろには、彼女のだんなさんである、与謝野鉄幹の句もあります。
 初代観光大使の様なご夫婦、鶴ヶ城でも熊本でも見かけました。 

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 与謝野晶子の手紙とか

 この辺りは梅園ですね、根元にシャクヤクやぼたんを配置して背景が二上山とお見事な作庭です。

 更に花見物を続けましょう。と、云ってもこの花の名が出て来ません。何方かご存じの方ご教示ください。御礼に「河内温泉大学タオル」を進呈します。
 ?????(正解はミツマタです、hiromiさんさらのご教示でした)

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 最後に「想観の沙」です。砂を沙と書くのは、お釈迦様は沐浴されたガンジス河の沙に例えているからで、形は手前が方形、後方が円形になっている。手前の方形は私たちの姿世界をあらわしています。方形は一見、強く、安定した形にみえますが崩れやすく角も欠けやすいものです。私たちの姿をあらわします・・・とか。銀閣寺などあるに似たものも同じなんでしょうか。前方後円墳に似てます。
 想観の砂

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 さて、百日紅は時期では無いので見つからないですが、山門の右一帯に広がっています。花盛りの写真があったのですが見つかりません、これで花は想像にお任せします。

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 これが咲き誇ると見事です(咲いている写真が見つかれば差し替えます)
 石光寺は別名「染寺(そめでら)」とも呼ばれます。右大臣藤原豊成(704~765)の娘、中将姫は美貌で知られたが、17歳で出家、当麻寺にこもるうち霊感を得て蓮の茎を集め、糸を採り出した。そして石光寺の庭に井戸を掘り、糸を浸したところ五色に染まった。 それが染の井で、傍らの桜の枝にかけたのが糸掛け桜。中将姫はその蓮糸で一夜のうちに当麻曼茶羅を織りあげたという伝説がある。

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 中将姫伝説の井戸とか
 当麻寺と石光寺折衷案のような伝説ですね、まあ姫は秘めとして適当に想像し、現代人の関心事は案は餡でも中将餅であります。当麻寺駅前に中将堂があり写真のお餅を売られています。奈良に美味い物無しと云う言葉がありますが、中将餅、だんご庄そして三輪山麓のみむろ最中は別扱いだと、愚妻は云います。私も同感です。
 中将堂

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 中将餅

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 ヨモギの採れない盛夏は休業する、売り切れ御免の商売は立派ですね。

 

 花の無い 花を愛でるも 花見かな <偐山頭火