食べ物店に関するキャッチコピーで秀逸だと感心するのは「蕎麦は一番、電話は二番、店は角から三軒目」と「京都の朝はイノダから」だと思います。どちらも語呂が良いからだ、とお思いでしょうが決して語呂だけではありません、実体を現しているからです。
蕎麦は滋賀県大津坂本の「鶴㐂そば」です。蕎麦の一番は今回論点から外して電話は今もって「二番」です。局番等々が付きましたがそのままです。店は確かに角から三番目です。老舗の習いによって、本家はこちら等々のもめ事はあるようですが、素晴らしいキャッチコピーです。
イノダのコーヒーは説明するまでもない中京区堺町通三条下ルに店を構える喫茶店ですが、十数年前に失火した時に全国紙やNHKの全中で報道された京都を代表する喫茶店の一つです。魯山人や漱石に愛された・・・というようなお店ではないですが、町衆に利用されています。早朝七時頃には店は開きますが、注文取りはその後暫くしてから。大きなテーブルを囲むように旦那さん風情が座り、商いのお話しをなさっている。時にパリとかニューヨークなどと云う地名も自然と出ています。その後、観光案内書を持った女性たちが続々と集まる頃には旦那衆は消え、行列が出来ます。
で、京都人にとって京都の朝はイノダからとなるわけです。先の蕎麦屋のコピーもどなたの作かは存じませんが、「トリスおじさん」で有名な、開高健クラスのコピーライターが関西には沢山おられたのでしょう。逆に言えばそういう環境から開高健が育ったのかも知れません。
最近嗜好が変わり、というか元に戻りコーヒーを楽しむ機会が増えました。本日も久しぶりの墓参から帰り、そのイノダコーヒーを楽しんでいます。手抜きとは云いませんが、パウダーも購入しました。まあ、味の差は私には区別が付きかねます。
写真:イノダから来た朝、収穫を待つ定点観測田圃
朝のコーヒー
京河内 コーヒー煎れる 琵琶の水 <偐珈琲愛好家>
京河内 コーヒー煎れる 琵琶の水 <偐珈琲愛好家>