河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

君は早く逝きすぎたよ 其の参 「遺作を所縁の地へ」

 既に何回か紹介している箏曲家大嶽和久兄の遺作「誓いのとき」と「大和川」の初版楽譜及び音源等を、それぞれが所縁の地であります大阪柏原市の市立歴史資料館、玉手山安福寺にこの程お納めしました。

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安福寺住職に大坂の陣400年事業柏原実行委員会会長より手渡し

 「誓いのとき」は2014年の大坂の陣400年に際して、同事業柏原実行委員会の委嘱を受け作曲されたものです。様々な場面で演奏され記念事業を盛り上げました。作曲にあたり大嶽氏は玉手山周辺の古戦場を丹念に歩き、玉手山安福寺大崎信宥住職の監修を受け緻密に創作されました。初演は古戦場に近い玉手山遊園地内の野外ステージでした。「テーマが壮大でまた日本史に残る戦いだけに重たいが、代表作品と言われるような曲に仕上げた・・」と語った楽譜の初版本と音源がそれぞれに納められました。

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玉手山公園野外ステージでの初演風景

 「大和川」は2004年の大和川付け替え300周年に、付け替えの中心人物中甚兵衛の子孫中九兵衛氏の監修で作曲し作品集「飛天」に集録されています。安福寺は大和川付け替え後の安中新田の経営に深く関わっていましたので、楽曲のテーマと縁が深いと云えます。

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付け替え地に立つ中甚兵衛翁像(高橋宏至作)

 昨年夏の大嶽兄の急逝以来、彼とのこれまでのお付き合いの中で前記の二作品については、「創作は時代の要請だよ・・・」と常に背中を押し続けていた関係で所縁の地で足跡を永久に残すことが出来ないか真剣に考えていました。永年知己を得ている大坂の陣400年事業柏原実行委員会会長のK氏に相談したところ、私と同じご意見をお持ちとのことで、資料館と安福寺への寄託となり1月23日にお納めしたものです。
 今後資料館並びに安福寺におかれては機会があれば楽譜等を展示すると共に、末永く保存していただけると云うことで、大嶽家の遺族の皆様にもお伝えいたしました。

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安福寺珂憶造本堂と池

 なお、安福寺におかれては鐘楼亙の葺き替えを行われています。約3百余年ぶりの葺き替えで、三月の落慶を目処に工事が順調に行われているとか。このような機会に廻り会えるのも何かの縁、僅かですが志納させていただきました。志納に関しては広く浄財を呼びかけられているそうです。瓦一枚に戒名もしくは名前を記して、今後数百年間大坂の陣で亡くなった人々はもちろん多くの御霊に打つ鐘を守っていくそうです。

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奥左が現在瓦葺き替え中の鐘楼

  巡り会い
  箏の音が 巡り合わせる 玉手山 <偐過憶>