河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

あの河豚とお別れか

 我が家恒例のお正月宴会は何時からか河豚でした。家族9人ですから豪勢だとお思いでしょうが、それが意外と格安。大きな河豚を三尾程つぶしていただき、綺麗に盛り合わせて2万円少々。大昔に鶴橋のK庄という河豚屋にも良く行っていましたが、此処で食べると二十万は取られる(少々乱暴な表現スミマセン 愚僧は縁あってその数分の一も支払っていません)程の量以上でした。
 豪華な盛りです

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 お店は「T屋」と云う空堀商店街にあった魚屋さん。我が師と仰ぐ智麻呂さんのご実家で、弟君のTさんが店を切り盛りされていました。愚僧が偐学僧の頃、年末のお鯛売りに駆り出されて以来のお付き合いです。その後暫くご無沙汰していましたが、ご隠居になられても「良いよ・・」とのお言葉に甘えて年に一度ですが贅沢な思いをさせていただいていました。
 その2

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 昨年末にお身体が不調とお聞きしておりましたが、我が家も何かと忙しくお見舞いもせず年が明けてしましました。松の内がすみ、義姉の恒郎女様に様子を伺ったところ薬石の甲斐無く年末に亡くなられていたとのことです。今さら何を言っても言い訳けのようなものですが、せめて存命中にお見舞いをしたかったところです。
 鰭の数が凄いですね 猫に番が出来る?いやこれは猫除けです

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 ご遺族にお見舞いのお手紙を差し上げたところ、「主人」こそ偐山頭火さんからの注文に堪えなければと、十一月頃から包丁を研いだり卸の様子を見て値段の感や買い時を探っていました。店を閉めてからでも、持ち前の腕が鳴るようで傍で見ていても活きいきした様子でした。との、奥様からの返事がかえりました。市場や魚屋の仕組み、取引先の様々な様子が愚僧にとっては良い社会勉強の場でもありました。普段なら猫の餌のタイが、年末になると装束させて焼くと数十倍にも売れるという様子は、むしろ実学に近いです。何も知らないで、お正月は河豚がたらふく食べられると育った子や孫達、今年の正月は冷凍の蟹でした。

 空堀に 河豚が泳ぐよ T**屋の <偐山頭火

 

 ご冥福をお祈りします。