河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

春雨においつ追われつ古都の梅

 奈良市内で何時もの所用です。わずか数十分ですませ、コンビニでパンとコーヒーを購入して平城宮跡へと車を進めます。この頃からフロントスクリーンには小鳥の足跡のような水滴の跡が付きます。午後には快方に向くという天気予想とは反対に春雨の気配、濡れていこう・・・ではありませんが、軽い昼食を取ると東院庭園方向へとペダルを。
 東院庭園前にて 中心付近の奥が春日大社方向

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 梅を左に見つつ東院庭園を迂回して法華寺阿弥陀浄土院跡に出ます。ここは、友人の偐家持氏にお教えいただいた場所です。田圃の真ん中に疎石がありますが、今回も遠く拝見するだけで近寄るには装備が必要です。

 法華寺阿弥陀浄土院跡

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 ここから、新市街に出て佐保川を遡るつもりが近鉄線に阻まれて迂回しているとJR京都線に出ました。ならば、と元々有るわけも無い目的地を不退寺に変更です。自由度がきくというか、優柔不断というか我が取り柄でもあります。
 不退寺山門

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 ここでは十数年(?)前に来て、蓮の株を頂いたことがあります。何年か咲かせましたが、不精な性分で枯らせていますので入山しないで門前で侘びて退散です。
 業平との縁等々

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 山門前からJR方向へ伸びる脇道があるのに気付き、そちらへ進みます。同じ道を戻るのが厭な性格故。なぜかこんな日は性格が良く表れます。京都線を越える農道ほどの跨線橋を渡ると、京都へ向かうバイパスです。歌姫道の現代版では、トラックが主です。
    跨線橋から京都方向

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 たった一人のため、押しボタン、信号制御、数十台を停車させる・・・と反「SDGs」だなと思うも、待っていても誰一人止まってくれませんからボタンを押します。色々な表情の運転手がおられますが、軽く挨拶をして渡るとウワナベ古墳です。南端を西へ進むとジェット戦闘機が見えて来ました。
 航空自衛隊幹部学校

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 航空自衛隊防大防衛医大卒業以上の幹部職員の訓練施設で一年間合宿して学ぶそうです。看板を拝見したり写真を撮ったりしていると「警務隊」の職員と目が合い、軽く会釈をするとお返事も。近づいて来たのか、私が寄っていったのか婦人自衛官で制服を着こなすと愚僧は偐業平に変身しそうです。勤務の厳しさとかお休みとか・・・お話ししていると上官らしき方が出てこられます。ここらで、立ち去れという合図でしょうか。偐業平として取り調べを受けるの良いが、ここは「お元気で勤務してください」と後にします。 

 コナベ古墳(なぜか水が鮮やかな色です)

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 水上池、平城天皇陵をかすめて元の平城宮跡に戻りますと、雨脚は更に厳しくなってきました。もうここらが潮時と着衣を整えて返り仕度。残った珈琲を飲んでいると車の前の梅の花が先ほどの美人警務隊員の笑顔にも見えて来ます。偐業平癖は持って生まれた性分ですな。

 梅の微笑

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ウワナベの花 恋しくもあり 飲む珈琲
                                 笑みにも見えて 我忘れられず <偐山頭火

わが妻は  いたく恋ひらし 飲む水に 
              影さへ見えて 世に忘られず   <防人歌