河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

にゅうめんに歴史の痕跡あり

 素麺を温かい出汁で食べる方法をにゅうめんと呼ぶそうです。今では全国区の食べかたですが、奈良県発祥の郷土料理だそうです。奈良時代に唐から持たされたという「麺製品」の一つでしょうか。ただし、日本麺業共同団体連合会によると、麺の作り方と同様に、食べ方も具体的な記録は残っていない。と、云うことは言い出しっぺが勝ちですな。
 素麺は夏が似合うかな

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 愚僧としては夏は素麺、冬はにゅうめん程度くらいしか思い付かない。地理的に奈良には近いが、にゅうめんを食べたのは成長してからです。今回食したにゅうめんは、今風のインスタントに近い。近いというのは、多少鍋で出汁を炊いて素麺を掘り込むという一手間だけです。
 三輪のにゅうめん

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 変な写真の撮り方ですが、ここにも一手間が。素麺の産地としては三輪は勿論ですが、その生産量を陰で支えるのが雲仙産です。独自ブランドとして確立しているのは小豆島と播州でしょう。この二地区は備讃二県(徳島も加わる場合は三県)と云われ良質の小麦の産地で、素麺の他にうどん文化も盛んですね。
 産地表示

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 話がわき道に逸れました。今回のテーマは奈良時代の政権と素麺です。遣唐使等が伝えた素麺や饂飩の具材は日本中から集められた、鮑、海老等の食材と共に食されると共に下味としても重宝されたことでしょう。時は下りその痕跡が如実に見られるのが本商品の「産地表示」です。麺は遥か東国秋田県(朝廷の権勢が及んでいたのかも知れませんな)つゆは静岡県湯葉滋賀県、七味は大阪堺そして具の海老は福岡県と日本列島からの献上品で彩られています。歴史の事実は意外と身近にありますね、でもちょっと、空想が過ぎましたかね。

 全国の 珍味が出会う みわにゅうめん <偐山頭火