大阪松竹座の「初春大歌舞伎」を観劇してきました。夜の部で、外題は「八陣守護城(はちじんしゅごのほんじょう)」、「郭文章吉田屋(くるわぶんしょうよしだや)」そして「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎつめ)」の三題。
八陣守護城は、徳川の世になった直後、豊臣秀頼の代理として家康の館を訪れた加藤清正が、毒酒を飲まされたという故事にちなんだお話で、なぜか二条城で会っているのだが、琵琶湖に御座船を浮かべるという壮大な舞台装置が堪能できます。
吉田屋は、傾城「夕霧」に700貫(10億円)もつぎ込んだ藤屋伊右衛門が勘当されて、紙拾いになって吉田屋に現れますが、亭主と妻の計らいで夕霧に逢えて、何故か勘当が解かれて夕霧を身請けするという、誠におめでたいお話です。伊右衛門に「坂田藤十郎」、夕霧に「中村扇雀」、二人の絡みと口説きが良い舞台でした。さすがに人間国宝ですな。
最後は江戸川乱歩原作を、松本幸四郎が戯曲化したもので、幸四郎演じる明智小五郎、その子市川染五郎演じる色男と悪役恩田蘭学、蘭学の豹に殺される美人に扇雀と豪華なキャストが、歌舞伎はなれした舞台演出と共に観客を引き込んでくれます。
月並みな勧善懲悪ではない、おどろおどろした人間味溢れる江戸川文学の世界を、歌舞伎という演出で存分に楽しめました。最後は、染五郎扮する恩田蘭学が大凧に乗って舞台から消えるという、大仕掛けが印象的でした。
今回は花道の脇で見ることが出来ましたので、歌舞伎舞台の様々な仕掛けも学ぶことが出来ました。
写真:正面、舞台案内
追伸:解説等は松竹のHPに掲載があると思われますので、参照してください。
○夕鶴を観て
夕鶴を 身請けて嬉し 浪華の春