定宿と言えるのは数軒しかないが、ここゑびすやはその中でも特に利用している回数が多い。その理由は、大正館という何とも不便な棟屋があって他に客があまり来なくて落ち着ける点が一番に気にいっている。
しかし、今回はそこで若いカップルを見かけ不吉な予感がした。松本清張の部屋があって、資料等が置かれていて見学客が来ることはあるのだが、どうもそれだけではすまない雰囲気だった。
そして予感は当たった。温泉に浸かり、いい料理を頂きさて寝ようかと思った矢先に隣室から音が漏れる。昔の建物で、壁はあっても屋根裏は空洞になっているということを最近の若者は知らないらしい。
で、宿に無理を言って「静かな部屋」に変えてもらった。夜中に部屋を移動したのは、大昔ニューオオタニホテルで原因不明の機械音で寝付けなかったこと以来です。今回は原因が分かっているのだが致し方ない。しっぽを巻いて退散とした。
寝付けなかったので、再び温泉に。中秋の名月が近いのか、澄み切った空気の中に月が輝く。コオロギが鳴く。そして、部屋に戻り爆睡。
写真:ゑびすやの竹林、行基の湯
住所:京都府京丹後市網野町木津196-2
電話:0772-74-0025
ゑびすや露天にて
○名月をコオロギと見ている露天風呂