昨日から本日にかけての日刊各紙の一面を飾っているのは、ノートルダム寺院の火災と尖塔の崩落です。世界の観光地一番だと云われるパリにあって、凱旋門、エッフェル塔等と並ぶのがノートルダム寺院でしょう。愚僧も何度か托鉢にパリを訪れていますが、シテ島に浮かぶ同寺院は印象深いものです。特にクリスマスに訪れた時の印象が、(日本の様に)クリスマスらしくない風景に驚きました。
愚僧が今回の火災で一番に思い出した「法隆寺金堂」に関しての記載が見当たらないのが、不思議な気分になりました。まだ、確定ではありませんが両者の文化財の焼失に関して修復中という共通のキーがあることに、私は強烈なインパクトを受けました。
上の写真は何度か紹介している太田信隆著「新・法隆寺物語」の1949年1月26日に火災炎上した法隆寺金堂に関する記述と壁画です。原因は壁画を複写していた技師が、電気座布団のスイッチを切らずに安全装置に頼った結果の失火でした。この事件が切っ掛けで「文化財防火デー」が設けられました。
607年に建立された法隆寺、幾多の波風があったにせよ1949年まで多くの人の努力によって守り次がれてきた貴重な文化財の一つが、文化財を守るという業で焼失しました。もし仮に、ノートルダム寺院も改修工事がそもそもの原因だとすると、人類はたった70年で同じ過ちを犯したことになります。で無かったとしても、もう二度と同じことが無いように祈りましょう。