河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

避暑に湖国へ

 オリンピックに伴うコロナ禍の被害が蔓延しようとする最中、湖国へ避暑に行ってきました。他人には自己中心的行動を慎め、と云っている割りにはお前は何だと云われたら返す言葉も無いのですが。一ヶ月にも及ぶ家屋の解体除却に付き合っていましたので、工事終了と云われたらどこぞ静かなところで・・・とできるだけ密を避けた隠れ里のような宿となったものです。
 己高庵

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 湖北木之本「己高庵」(ここうあん)は近年の我が家の定宿です。一時期は木津温泉「ゑびすや」でしたが、此処も有名になり小部屋の風呂の事前予約等々が求められるようになって、リストから外しました。斯様な宿は三朝温泉「木屋旅館」も同様です。瀬に棹さす性格なのでしょうか。
 ゑびすや

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 さて、出発したのが7月29日午後、本学近くのマクドナルドで昼食です。道中奈良市内で立ち寄りが一箇所あるため少々遠回りしました。京和奈道に入り、第二京阪に向かおうとした所でナビ切れです。長年更新していないナビは、タダの箱ですね。しかも、無い道を走れとも云う高齢者には不向きなナビ(ゴミ)です。ここで、直ちに「感ナビ」に切り替えて無事危機を脱して京滋バイパスに入ることが出来ました。
 目指すは己高庵

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 名神高速北陸道を走り小谷城スマートICで高速終了です。小谷城見物やその足元にも温泉があるのですが、コロナ対策として此処は辛抱し己高庵を目指します。3時予定でほぼ予定通りの到着です。

 先ずは無事到着を祝して「乾杯」そしてお風呂です。この地は薬草に恵まれているため、敢えて温泉を掘らずに薬草湯をうたっています。要は愚僧が普段入っているお風呂と同じ事、但し節約志向か薬草の量は少ない。家で入る方がはるかに濃いようにも見えるが、大きな浴槽や露天ならでは楽しみもますというもの。
 露天風呂

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 さて、宿の楽しみは食事です。特に注文もしない主義で「並」の食事が次々と運ばれます。いわゆる大名出しという豪華に並べるのでは無く、出来たてを並べてくれます。と言うのも、よく混んでいた今回の利用でも数組だからこそ出来る技ですね。地元冨田酒造の「七本槍」を冷やでいただくと、料理の風味も引き立ちます。
 七本槍

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 よく飲んでよく喰った翌日は何も予定がありません。夜の泊まりが「延暦寺会館」という目的地はありますが、道中の行程などは決めていません。前頭葉の引き出しに数カ所の候補はありますが、昼飯も決めていないが制限時間が来ましたので朝餉をいただくこととします。そして、宿を出ても目的地が決まらないので、湖岸を走る国道に出て河内から離れるという点でのみの判断で右方向へ走ります。

 菅浦の家並み

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 菅浦はこれまで何度か紹介していますが、湖岸の隠れ里のような場所。白洲正子女史に紹介されて全国区になりましたが、ひっそりとした佇まいに変化はありません。
 ヤンマーの家庭工場

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 ここ菅浦には「ヤンマー農村家庭工場  」があります。これまで見落としてきましたのでここでご紹介します。滋賀県出身のヤンマーの創業者が菅浦地区にも事業の拠点を・・・と設けた工場ですが、会社の規模が如何に大きくなろうとも初志貫徹という所が郷土愛を感じさせられます。
 再建なった湖里庵 シンプルなデザインで好印象

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 海津大崎へ出ると気に掛かるのが湖里庵です。2019年の台風でお店が倒壊して本年4月から再開しているという。勿論、湖里庵で昼食という選択肢もあるが、今回は再建なったお店を拝見しただけで通過。次の機会に伺うと云うことで、ここから数キロ先今津の「西友」(にしとも)という鰻屋を目指します。
 西友本店

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 琵琶湖と云えば鮎、ビワマス、ニゴロフナや小魚の佃煮等々が浮かびますが、鰻も美味しいと評判、中でも西友は愚息のお勧めで学生時代から通っていたという。愚僧は「鰻重」愚妻は「ひつまむし」を注文。ひつまむしは試食していないので、評論は出来ないが鰻重は重箱の隙間が広く感じる。伊勢、奈良で良く食する鰻重は、米が見えないほど詰まっているというか、重箱が大きいだけなのかは謎のままです。

 鰻が泳げる様な箱です

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 満腹になったら非常に眠くなります。この状態で湖西道路の単調な道を走ると、追突しそうですが良くしたモノで「妹子の里」という道の駅が「おいでおいで」と呼びかけてくれます。勿論、いただいたのはソフトクリームです。

 比叡山ドライブマップ

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 抹茶入りでも無いですが、少しは瞼の支えも出来ましたので再び湖西道路で奥比叡ドライブウエイ仰木ゲートを目差します。
 一隅を・・・

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 比叡山は何度か来ているという愚妻だが、横川(よかわ)地区と西塔(さいとう)地区は未見というので先ずは横川へ。駐車場に車を置き数十メートルも歩くと横川中堂へ。この中堂を中心におみくじで有名な元三大師堂や根本如法塔と云われる多宝塔などがあります。
 横川中堂

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 ここから数キロで西塔地区です。ここでは、先に購入している拝観券で参拝できます。同じ様に坂を下りますが、鎌倉初期の造りと云われる釈迦堂が出迎えてくれます。他には「にない堂」や「瑠璃堂」や「浄土院」等が見学できます。
 にない堂

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 そして最後に行き着くのが根本中堂がある東塔地区。残念な事に根本中堂は長期改修工事中で全容は見られませんが、内部は見学できます。また、足場で固められた根本中堂も、今ならでは光景ですのでこれもご縁と喜びましょう。
 根本中堂標柱

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 工事の仮屋に覆われた根本中堂

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 本日の宿は根本中堂脇を下ったところにある宿坊と云うべき「比叡山会館」です。山陰にあって麓からは見えませんが、お部屋から琵琶湖が水たまりのように見える豪快な眺めです。
 お風呂も展望浴室

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 御食事は大食堂で「若い者グループ」と「高齢者グループ」に分かれて食べます。あまりにも広い食堂なので、この事がよく分からず高齢者数組の利用だと思っていましたら、翌朝バスに乗る若者グループがおられてその仕掛けが理解出来ました。
 信長焼き討ちの碑

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 どの様に処理しているのかと気になっていた、焼き討ちはこの様な紹介でした。信長の本能寺での死後、霊を弔っていると記されています。
 では、我々もその本能寺へいざ参ろう・・・。
 と、焼き打ちではありません。本能寺近くのイノダでコーヒーをいただこうというもの。京都でコーヒーと云えばイノダ、と云われるほど有名なお店ですので、また随分待たされるのかと諦めの気持ちで駐車場へ車を入れます。
 イノダ京都本店前

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 店内は意外と空いています。二階なら直ぐに、一階なら少々と云うがテラス席で無ければ今すぐにでもどうぞという。当然何処でも良いので丸テーブルに座り、久しぶりの「町衆」感覚を楽しむ。昼には少し早いが愚僧はカツサンドをいただき、愚妻もサラダっぽいものを頼んだようだ。
 インコが元気でした

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 トイレを借りて通路に出ると「インコ」が数羽ゲージに入っています。1999年に店が焼けて全中された時、インコはどうなった・・・との問合せが多かったインコ、当時は焼けず生き残ったが、その後も元気に接客している(うそ)。代替わりはしていると思うが、救急サイレンにしか反応しない愛想の無いインコです。
 店内の売店で友や自宅用の土産を購入、京都市内をすり抜けて第二京阪道路等を通過して帰宅したのが正午過ぎでした。
 店内

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 永らく二日以上の旅などしたことも無かったので、今回近くを選んで良かったと思います。旅の翌日もあまり疲れが出ず、日常を通常どうりこなせていますので。このコロナ禍とオリンピックという嵐が過ぎたら、もう少し本格的に「旅」をしたいと思うほど後味の良い今回の滋賀と京の旅でした。

 後味が その人かたる あかしかな  <偐山頭火