本日のNHK朝のニュース全中で「狙われる“ご神木”」と題して四国を中心に神社のご神木に薬物注入で立ち枯れさせる事件が多発しているという報道がありました。何故か、適当な買い手が現れて引き取るらしいが、直近の事件の神社では異常に気づき引き渡しまで至っていないという。引き取られた、ご神木が再建される神社仏閣の材料になっているという少々複雑な背景も報道されていました。
この報道で、触発されての記事では無く以前から暖めていた課題で、本日の報道をきっかけに記載したのが「道中神木」という一段です。大阪市内には、公道の真ん中に樹木が立っているのをよく見かけます。掲載した写真の樹木は、大阪人なら知っている・・というのが殆どだと思います。
まず最初は、大阪府警とNHKとの間を通る道筋、ルーテル教会の前に立つ「舎密局」跡に立つ樟です。舎密局は第三高等学校から京都大学教養部と発展したと言うことです。元々は、歩道の幅が狭くもっと道に突き出ているように見えましたが、歩道の幅員が広げられて今では車道にはみ出ているようには見えません。根元には石塔が祀られていて神木化されています。
次なる神木は、中央大通りを挟んで南へ500m程にある榎木大明神です。この神木は「プリンセス・トヨトミ」にも登場する。榎ではなく槐(えんじゅ)と言う中国原産の樹木で樹齢650年を越えるそうです。安堂寺町2丁目、長堀通りへ南へ下る急斜面に。
さらに南下すると、楠木大神と呼ばれる楠が車道の真ん中にそびえています。空堀通り商店街の一本南の通りを谷町筋から東へ入った所。樹齢は500年以上とか、元は寺の中にあったが戦時中の道路拡幅ではみ出て現在の原型ができあがったとのこと。
さらに100m南下して東に寄ると末広大明神。根元には祠があります。元は私邸の中にあったが、住宅開発でせり出されたようです。ここまでは、何故か熊野街道上に立地しています。信仰心に厚い人々のおかげで、神木化された巨木が残されたのかもしれませんね。
さて、少し東に向かうと落語東の旅で度々登場している玉造稲荷神社の真南には白光大神が通路を封鎖するように祀られています。少しずれるが無理に解釈すると熊野街道筋とも言えます。さて、今回のとりは北区野崎町8の龍王大神。背景のビルのオーナーはキリスト教扇町教会で、最上階には教会があります。皮切りととりをキリスト教会が盛り立てた事になりますが、あまり関連も意図もありません。この木はご覧の通り見事な大銀杏です。
以上今回ご紹介した道中神木を含めて大阪市内には23カ所もあるそうです。東京や京都・名古屋等の大都会には見られない風景だとか。先の戦争で大空襲に遇ったが、生き延びた樹木の生命を大切にしようとした先人の心の現れではないでしょうか。そう思うと、今朝のNHKの報道には心痛みます。
道中神木の一段これにて幕とします。
写真:舎密局跡樟、榎木大明神、楠木大神、末広大明神、熊野古道道標、白光大神、龍王大神
道中神木によせて
もの言わぬ 木に耳寄せて 聞く寝言 <偐山頭火>
*道中神木(みちなかしんぼく)
筆者の造語で、駅ナカ等の最近の造語からヒントを得ました。よりふさわしい呼び名があればお寄せいただきたいものです。検討させていただきます。
また、道中にあるが「神木化」までは道半ばというものもあればお教えください。キャンパスに近いところでしたら現地調査の上検討してご紹介したいと思います。奈良。京都には無いとのさる研究機関の見解も紹介しましたが、見解に反する事実があれば是非お寄せください。 <偐山頭火>