河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

琴の音を聴く「関西邦楽作曲家協会第39回作品発表会」にて

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 ”前線停滞「秋雨に曇るも朱き西から琴の音かな」”で既報の大嶽氏の演奏会に御堂筋へ。紅葉の朱き大阪城を過ぎ、御堂筋へ入ると黄葉の世界に。整然とビルが建ち並ぶ美しい都市美とも云える道筋にはみ出て白いテラスが設けられている様には腰が引けます。パリの町を真似たつもりか、町づくりも美意識・哲学が必要だと思わせられる。

 自身の青春時代、子育て時代に友人や子どものピアノ発表会に通った「朝日生命ホール」です。よく手入れされたビルに古さは感じさせられません。しかし、内部は程良くリニューアルされています。古いものを時代に合わせて利用する、そこから歴史や文化が生まれるのでしょう。

 彼とは「大坂の陣四百年祈念」に際して楽曲の依頼を取り次ぎ、その作曲の行程をつぶさに拝見したことがあります。作品は「誓いのとき~大坂の陣四百年に寄せて~」となって、祈念事業の大きな成果となり、つぎの時代へと引き継がれることとなりました。戦記もの・・・との感覚で武士の魂云々と勝手に想像していた私に、「戦いの陰で犠牲になった庶民も忘れてはならない」と云う彼の作品はタイトルにあるように、平和への誓いを大坂の陣に込めたものとなりました。

 その大嶽氏は今年大病を得られました。療養のため、今回の発表会には新作で臨むことはかなわなかったようで、「山里の歌」という作品の再演でした。のどかな山里の四季を五重奏で力強く描かれていました。特に病み上がりとは思えない、彼の演奏に合わせる尺八もテンポ良く琴を追いかけます。生き活きとした人々の里での四季の暮らしぶりが描かれています。大嶽氏も作品もリニューアル再生です。そして、更に大きな仕事を残していただきたいと感じました。

 写真:コンサート風景(けん家持氏より拝借)、プログラム

 御堂筋
 琴のねに 会わせてひらり 黄葉が <偐山頭火>