河内温泉大学

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江夏豊の「捕るな」か「追うな」か、決着がついた!

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 日経紙のコラムに「私の履歴書」という連載ものがあります。宮崎神戸市長、本田宗一郎そしてソニーの井深さんなどは文庫本にもなった優れたエッセイです。もちろんリライトされているのでしょうが、その人なりの蘊蓄ある考え方や振る舞いが素直に表現されていて楽しませていただきました。

 本田社長は自動車ガイらしく遺言に「自動車で儲けさせてもらった、死んで車の渋滞で迷惑をかけてはいけない」と葬式のやり方まで気遣いしていた。ソニーの井深さんと盛田さんは共に子息などを会社に入社させなかった。ホンダもそうですが同族経営を排除していた、等の経営理念を読ませていただいた。今の経営者にも読ませたい、人を引き寄せる理念が素直な文章で綴られています。

 今期連載は元野球選手の江夏豊さん。数々の金字塔の実績で私の記憶に残る数少ない野球選手ですが、薬害で躓いた負の記録も背負っておられます。豪腕で根性が備わった野武士のような投球に、アンチ巨人としては何度溜飲を下げたことでしょう。そして数々の伝説も語り継がれています。

 その伝説の筆頭がオールスター戦で連続三振がかかった投球、フライ球を追いかけた捕手にかけた言葉。巷では「捕るな」と言い伝えられていました。しかし、本当は「追うな」と叫んだと書かれています。私も野球好きの知人からいかにも現場で聞いたように、その場面を聞かされたことがあります。しかし、彼自身打たれた瞬間に捕球できないと判断した、肩が腫れ上がっていて一時でも早く終わらせたかったし、三振にする自信はあったので時間が惜しくて「追うな」と叫んだという。なるほど理屈に合ったお話です。しかし、散々人々に偐伝説を語らせた上で、それは違いまんねん・・・という江夏らしい履歴書であります。

 今日23回目の連載は「野村組」という副題で、南海をやめる直前の野村監督とのやりとりが綴られています。

 写真:私の履歴書江夏豊 野村組

 捕るな
 追うなといい 捕るなと聞こえ 伝説が <偐山頭火