白洲正子というエッセイストがおられます。詳しいプロフィールは次項にゆずるとして、仏像や作庭等の日本文化に造詣が深く各地を巡り歩き作品に残されています。それらの痕跡が明確に残る滋賀や奈良・京都に関する作品は特に素晴らしいと評価され、お亡くなりになった後も長く読み継がれています。
その白洲作品に紹介されています、十一面観音菩薩立像の中で国宝を含めた三体の像を見学する湖東地区の旅を今回計画しました。湖東地区に神社仏閣が集中しているのはこの周辺が戦国の戦に代表されるように、豊穣の地であり地政学的に都という政治の表舞台への花道であるがために権力者の争点になり、その覇者が権勢を誇る上で象徴的な仏教に力を注いだ結果では無いでしょうか。中でも、今回の十一面観音像が北から南へと直線的かつ集中している謎の一つの解は先で白洲がこたえています。
仏像巡りには先ずは腹ごしらえ、武将と同じですな。そこで検討候補に挙がったのが「西川」ですき焼ですが、これでは昼食で軍費を使い果たすこととなります。次なる候補がたねやが経営する「ラコリーナ近江八幡」という超今風のレストランです。初見でもあり道行きの愚妻の了解も得られて決定です。
創業の枠を越え、新規業態を開拓するという企業は、滋賀には意外と多い。大きく云えば「伊藤忠商事」や「オオミケンシ」。お菓子の「叶 匠壽庵」もお菓子屋のソニーと云われたこともありました。ラコリーナ近江八幡を経営する「たねや」は近江八幡市の和菓子屋ですが、西の湖近くに広大な土地を求めてテーマパーク型のレストランで若者の好評を得ています。ここの昼食はオムライス1本のみ。五穀玄米をふんわりとした卵焼きで包み、完熟トマトの切り身とスープを注いであります。御飯とサラダそしてスープがワンプレートに合理的に仕上がっています。手間も架けず客には満足、いわば江州商法のお手本のような一品です。
腹八分目に仕上がりました。力を注いでいると云うカステラを土産に観音様見学に出かけましょう。十一面観音を三体ですから、三十三面観音巡りの出発です。