河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

それは「おお、大砲」かな

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 司馬遼太郎の小説に「おお、大砲」という小作品があります。大和高取藩が徳川家康以来ブリキトースという大砲を持って、奈良にあって江戸を守るという役割を担っていた。ただし、近代化というものに目もくれずに関ヶ原以来の古式大砲をひたすら守り続けることが、徳川家への忠義であり家を守る術の全てであったというお話し。

 最近お知り合いになった喫茶店の主催で、本日その高取藩のあった壺坂周辺をハイキングに行くという。それに同行するという偐家持氏と同店で珈琲を戴きながら小説の話になったが、題名が出てこないという「認知症」状態になりました。私はハイキングには参加出来ませんが、大砲のことが少し心に残っていました。

 それは、奈良の御所にある笛吹神社、川合町の広瀬大社そして大阪市諏訪神社にも大砲があります。所詮は国威発揚の為の大道具であったのでしょうが、ある意味で「ブリキトース」に似た大砲であるのが滑稽にも思え、本日ご紹介しましょう。滑稽に見えても、当時の関係者にとっては真剣に取り組まれた事であることは肝に銘じつつ。

 笛吹神社のそれは確かめていませんが、他の二砲は日露戦争の戦勝記念と云うことが、碑文や大砲の製造所の記載で解ります。その滑稽さというのが、砲筒に比して弾のサイズが大きすぎること。何としても敵を殲滅という気持ちは解るものの、これでは無理矢理込めても、撃った瞬間に筒の根元で炸裂するでしょう。小説では音の大きさで敵に耳鳴りを起こさせたと、少しは威力を発揮したブリキトースにも及ばず自陣が損壊する恐れがあります。

 こんな事ではいかん・・・と神社に巡航ミサイルテポドンなどの兵器を並べるような時代が来ない事を願いつつ、昨日広瀬大社を久しぶりに訪れて来ました。好天に恵まれ天理軽便鉄道の痕跡巡りなども楽しみながら、沢山の太陽を浴びることが出来ました。残りの材料はまた後日の報告とします。本日も好天、偐家持氏一行も楽しいハイキングになっていることでしょう。

 写真:広瀬神社三題、笛吹神社、諏訪神社

 大筒
 大砲より 砂かけ似合う 神の庭  <偐山頭火