河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

苺食めば 子ども思ほゆ

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 山上憶良万葉歌人にしてはマイホームパパでしょう。惚れた腫れた、取った盗られたと云う歌が多い中で「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆいづくより来りしものそ目交にもとなかかりて安眠しなさぬ」(万葉集803番)という長歌や「憶良らは今は罷らむ子泣くらむ それその母も我を待つらむそ」(同337番)と云う短歌に子供どもや妻を思う抒情的な感情描写が見えます。

 この時の憶良の年齢70歳頃で、歌に詠むような子どもはいなかっただろうと思えます。単なる子煩悩であったと云うだけでは無く、親と子または妻との関係を歌にした表現であったのでしょうか、ひょっとして大変お元気で「孫のような子ども」がいたかも知れませんが。

 既に何度か書き込みしていますが、孫や孫娘達が昨日襲来しました。娘の旦那さんも含めて全員が揃うというのは年に一、二回です。当然、迎える側としては喜びも数倍です。恒例の河豚や苺そして河内では無くてはならないホルモンと兵糧を揃えて待ち受けます。

 加えて、今月四歳の誕生を迎えたNちゃんのお祝いも兼ねることとし、老夫婦で誕生ケーキ風も創作しました。子ども達は両親の考えで甘味を制限しているので、食パンを台にクリームチーズ、苺と蜜柑などで飾ります。仕上げはNちゃんが担当しましたが、ブドウが無いのが少々ご不満です。

 ローソク消しにかかると、他の子ども達も我慢が出来ず誕生月順に交代に消してくれました。 憶良の歌は子どもや家族に対する思いを詠ったものですが、「憶良らは・・・」は「立歌」(たちうた:辞去の歌)と云われています。これは宴会に招かれた者が、お開きの時に歌うご挨拶という形式で、座を白けさすこと無く自然と終われるのです。昨夜の我が家の場合は、立歌のテーマとなっている孫やその母も場に揃っているので、憶良風に格好良くそれでは・・・とならないのです。

 写真:制作途中のケーキ、フーの順番争い

 孫を思う
 苺食めば子ども思ほゆ 河豚食めばまして偲はゆ いづくより来りしものそ目交にもとなかかりて安食しなさぬ  <偐オクラ>

 本歌
長歌
 瓜食めば子ども思ほゆ 栗食めばまして偲はゆ  いづくより来りしものそ目交にもとなかかりて安眠しなさぬ

反歌
 銀も金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも
                      山上憶良