名月に御酒これにて候、と届きましたのが酒器と麦酒器。曾て職を持っていた時の同期で良きライバルというか敵と言いますか。敵役は職を辞してからも、バイク行でも時に張り合っております。その敵が「仙啓」と名のり、玉手山山麓に窯を設けております。
毎朝早朝から金剛山に登り昼からは作陶に励むという、修験者であり陶芸作家という生活をおくっています。盛夏にも作品をいただいたのですが、それに付いた文には名月を飲む酒器も送るとありました。それが今回の作品です。
金剛登山も優に千回を超えたはずで、作陶も長く続けると何とかなるものだと、負け惜しみを言いたいくらい腕を上げております。愚妻に、我が共通の知人であります乾漆作家のk先生と二人展も出来るな・・・と半分冗談、半分本気。どうせ義理のかかった人しか来ないのだからとも。
徳利は一合しか入らないとか、今では二合で悪酔いする境遇の私に取っては良い頃合いです。ぐい呑みは「もち月」と「おぼろ月」で秋と春の月を表現している。麦酒器は釉薬を使わず、焼き締めている。その時、火襷(ひだすき)という稲藁を巻いて帯状の模様を付けた。藁のカリウムと素地の鉄分が化学反応を生じて緋色になっている。等々とか。講釈は適当に読み流して、今から仲秋の名月が待ち遠しいが、さて酒の工面をどうするか思案が続きます。
写真:酒器、麦酒器