河内温泉大学

姓は車 名は寅次郎 人呼んで フーテンの寅と発します

贋作の次は「癌」のお話しを

 先月末から今月にかけて持病の食道と咽頭の検査を受けていました。と言っても通院であります。2017年1月から3月にかけて食道静脈瘤と食道及び下部咽頭の癌の手術(何れも内視鏡術)を受けて三年目、節目の検査ということでしょうか。結論から報告すると、再発や転移はなく二年生存率はクリアーしたと云うことです。
 三年前 病院では点滴パイプを張り巡らせていました

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 昨年末に義兄を「膵臓癌」で亡くしていることを主治医に伝えていましたので、内視鏡検査と同時に行った造影剤を使ったCTスキャンで膵臓を含む肝・胆も検査していただきこれもクリアーしていました。余談ですが、造影剤検査をする時は、これら全てを読影しているようで、要らぬお節介だった様ですが、快く対応していただけました。まあ、案じるよりは先生に気軽に相談した方が良いということでしょう。
 「かじる」という説明書き

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 検査後に、看護婦から組織検査をしたと聞いていましたので結果を聞くのが心配でした。主治医曰わく、非常に小さな病変らしいものを検査に出したが「癌」ではなかった。いずれ癌になる可能性もあるので、「かじられる」大きさだったので、全て取っておいてヨカッタですよ。もう少し大きくなると入院・全身麻酔とかで大事ですから・・・。(検査目的の内視鏡では「かじる」大きさに限度があるそうです。)
 ここで「かじる」と云う言葉が聞き慣れない「医学用語」。「ちぎる(剥離)」という用語もESD術ではよく使われます。ちぎるは、癌組織の下にヒアルロン酸液を注入して浮かび上がらせ、ちぎり取ると言うことです。内視鏡で行う消化器内科の術を現す用語のようです。因みに主治医はこの分野の第一人者です。何となく「雑」な言葉で初めて聞いた時は驚きましたが、この分野では普通に使われています。
 また、非常に小さな病変という表現もキーとなる言葉です。今や内視鏡の世界は何百倍もに拡大して「探索」するそうです。肉眼や試薬で調べるという従前の検査に加えてこの拡大率も病変の発見に役立っているそうです。加えて将来はAIが進歩すれば、検診・検査が大いに進歩するでしょう。
 著者は猫がお好きとか

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 日経新聞木曜夕刊コラム「がん社会を診る」中川恵一(東京大学病院准教授)が単行本として昨年出版されました。知っておきたい「がん講座」リスクを減らす行動学、というタイトルです。著者曰わく癌は高齢化社会にあっては避けて通れない細胞遺伝子の暴走による病。日本人が生涯に癌にかかる率は男性62%女性47%(2014年のデータが最新でこれによる)ですから、更に最新のデータを加味すると男性の三人に二人、女性の二人に一人が罹る時代になったと言えるといいます。今を生きる人間としてこの問題に向き合い、備えておく必要があるとされています。
 毎週木曜日夕刊コラムから

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 コラムとして読んでいましたが、著者自身も癌患者そして癌の臨床医という経験を一冊に纏めた時宜に相応しい本でした。既に癌になった者としても、最新の治療法や所謂いかがわしい治療や健康食品、サプリメント等の知識も有用でした。癌を知るという点では夫婦共通の認識として欲しいと愚女・愚息に贈りました。宣伝マンではありませんが、おすすめの一冊です。

 ヒアルロン 使いようでは 役に立つ <偐山頭火